定年間際の「窓際おじさん?」は、少子化の救世主?

2024年6月の朝、出勤前にテレビのニュースを見ていると「少子化は男性の長時間労働が原因」と報じられていました。家事負担が女性にのしかかり、一人以上は生めない、育てられないことが原因だそうです。
「最初は二人ほしかったのですが、現実は無理。」
取材を受けていた共働き夫婦の妻の言葉…。マイクを向けるレポーターを背に、会話の途中で保育園に走っていきました。夫は、残業・出張の連続。お迎えは物理的にできないとのこと。
女性活躍と言っても、この役割分担は、まだまだ解決しそうにありません。
OECDが2020年にまとめた生活時間の国際比較データ(対象15~64歳の男女)を見ても、日本における無償労働時間(家事・育児・介護・ボランティアなど)の男女比は、男性1:女性5.5となっています。

この話を友人にすると、こんな答えが返ってきました。

「最近は、窓際おじさんがいなくなったからなぁ…」
この「窓際おじさん」とは、役職がなく、仕事も減り暇になった定年間際のシニア社員のことだそうです。
彼らは、中堅・若手社員が忙しすぎて目をまわしていると
「オレ、暇だからさ…」
といって雑務を手伝ってくれたり、判断に困っていると助言をしたり、時には仕事の愚痴を聞いてくれたりする役割を担っていたそうです。

ところが、昨今はシニアになってもバリバリ働いてもらわないと、と企業側は定年間際までバッチリと役割をあたえ、窓際どころか部屋の真ん中に座らせ、中年世代と同様の業務量になりつつあります。

シニア活躍企業がスポットライトを浴びる昨今、「窓際おじさん」の減少は、良い風潮のように見えます。

しかし、前述のニュースを見たり、友人の話を聞くと、もろ手を挙げて賛成とは言えないのかもしれません。
「オレ、暇だからさ」と手伝ってくれる人がいたからこそ、子育て世代が残業をしなくて済んだり、早退できたという、良き一面もあったわけです。

私は以前から、高齢社員が、働き方を選ぶことができる仕組みづくりを提案しています。
バリバリコース・ほどほどコース・ライフワーク重視コース。概要は以下です。

・バリバリコース・・・今までと同様の勤務体系。昇進昇級あり。
・ほどほどコース・・・パートタイマー。昇進・昇給は本人の成果次第。
・ライフワーク重視コース…パートタイマー勤務。昇進・昇給なし。

「高齢社員の働き方改革」については、個人の問題として取り上げられることが多いのですが、もう二段階上のステージから見てみると、組織や社会にまで影響を及ぼします。
今一度、シニア世代の働き方・役割について考え直す時期になったのではないのでしょうか。