「年上部下指導」について調べていると、興味深い記事が見つかりました。
サイボウズ総研が2023年に実施したもので、データ数は2,500人
(年下上司1,500人、年上部下1,000人)。以下概要です。
(1)年下上司と年上部下、ともに76%が「相手との仕事はやりやすい」と回答。
年下上司は「仕事への信頼」、年上の部下は「接しやすさ」が理由
(2)年上の部下へのマネジメント、「敬語・丁寧な言葉遣い」は、年下の上司が思うほど求めていない。
年上の部下が最も必要視するのは「部下の話を聞く」こと
(3)年下の上司は「年上の部下の固定化した価値観」「チームの人間関係」に苦労
(4)年上の部下には、チームの屋台骨としての期待
意外なのは(1)「仕事はやりやすい」という回答の多さです。
ただし、これを鵜呑みにしてはいけません。企業風土・昇給制度に左右されるからです。
若手は未熟だという規範のある製造業や、年功序列の職務階級しか経験したことがない創立50年以上の大企業では、やはり世代の壁は否めません。
さて、ここで見落としていることが一つあります。
(2)の敬語を求めていない理由です。
これは、単にフラットな関係を認めているだけではありません。聴力の変化(老化)も影響します。
私たちは、40歳を過ぎたころから音の聞こえが悪くなります。「老人性難聴」と呼ばれるものです。
敬語・丁寧語は語尾がわかりにくくうっとうしく感じます。
よって、明瞭簡略に話してくれた方が、分かり易いのです。
また、加齢によって気が短くなります。これは(3)にも関連があります。
年を取ると、人としての器が大きくなるという見方もありますが、感情のコントロールは苦手になります。
これは、海馬の委縮によるものです。
「切れる高齢者」という表現をすることがありますが、私は好きではありません。
その理由を加齢変化という観点からとらえていない気がするからです。
gerontology的に、その理由を知っていれば、対応の仕方がわかります。
また、他の良いところを見つけ、敬意を抱くゆとりも持てるかもしれません。
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