「リバース・メンタリング」の意外な効果

「リバースメンタリング(Reverse Mentoring)」をご存じでしょうか。

これは、若手が、ベテラン社員のメンター(助言者)を担う取り組みです。
1990年代、GE(ゼネラル・エレクトリック)のジャック・ウェルチ元会長が、急速に普及する「インターネット」という未知の技術を理解するため、500人以上の幹部に対し、若手社員からマンツーマンで教わるよう命じたことから始まったと言われています。
わが国でも、国内のメガバンクや大手金融機関でも導入が進んでいます。
その目的は、ベテラン世代に、若年層の価値観や市場感覚を学ぶ場を提供することです。

ところで、この「リバースメンタリング」を、産業ジェロントロジーの視点から考えてみました。
確かに、若年層は新しい知識やスキルをシニア以上に持っています。創造力や新しい法則を発見する「流動性知能」も長けています。
しかし、シニアには相手に対する共感力や、状況を俯瞰して整理する洞察力、そして長年の経験から培われた「結晶性知能」があります。
これは、若手が持つ「流動性知能」とは異なる、成熟した“知のかたち”です。

若手が最新の技術や価値観を教える一方で、シニアはそのやり取りの中で、自然と、このように考え始めます。

「どう伝えれば、この若手はもっと理解しやすいだろう」
「相手の強みをどう伸ばしてあげればいいだろう」

つまり、若手に教わるという行為を通じて、シニア側は“教え方”を若手に返しているのです。
これは、産業ジェロントロジーでいう「相互性の学習」
一方向の指導ではなく、世代間でスキル・ノウハウを交換し合うプロセスです。

若手は新しい知識を提供し、シニアは「伝える技術」「相手を見る力」「経験知の整理」などを返します。
この循環が生まれたときに、「リバースメンタリング」は単なる“若手→シニア”の学びではなく、以下のように進化・深化します。

「世代間で知能を交換し合う場」

産業ジェロントロジー的には、これこそが、「リースメンタリング」の成果です。
若手は「教える力」を、シニアは「学び続ける力」を取り戻し、組織全体の知の循環が加速します。
弊社の研究・現場事例を活かすと、今まで以上の効果が見えてきます。
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