ファミリービジネスにおける「Gerontology」

2022年の後半から、こんな相談を受けることが増えました。

「ファミリービジネスにおいて、課題である親子関係。年をとった社長から事業承継する時のトラブルをGerontology的視点から良い方向に持ってゆくことはできないか…」

M&Aの専門家、金融機関の方、ファミリービジネスアドバイザー…
いろいろな方々からお声掛けをいただきます。

ファミリービジネスとは、創業者一族が企業経営を担っている、もしくは、株式を保有している会社のことです。日本企業の約97%はファミリービジネスであるとも言われています。昨今は、その経営的持続力の強さが、欧米からも注目されています。
私は、2005年頃の、かなり早い時期から、一般社団法人日本ファミリービジネスアドバイザー協会会員となり、取り組みを始めました。高齢の父親・母から、息子・娘という中・若年世代へのバトンタッチは、ジェロントロジー研究にとっては、最適な事例研究の場です。

以下に「持っておくべき二つの視点」をご紹介します。

 

(1) 社長も、高齢者の一人である。

「なぜ、あんなに頑固なのか?」
「周囲に厳しいのか?」
社長だから…と一言で片づけられがちですが、そうではありません。高齢者の特徴です。
主なものを三つあげ、その理由を解いてみましょう。

  1. 頑固になる… 適応能力の低下によって、変化に対応しにくくなります。
  2. 他者が許せない…経験・知識が増え、それをスケールとするため、できない事が許せなくなります。
  3. すぐおこる…感情のコントロールがしにくくなります。

高齢者の特徴と、社長のパーソナリティを混同しているケースが、数多あるのではないのでしょうか?

 

(2) 今の事業の継続こそが、社長のサクセスフルエイジングか?

YES と答える方が、多数います。本当でしょうか?
社長は、経営者であるとともに、一人の人間です。
人間の幸せな生き方=今の事業継承でしょうか。
本当に求めているのは、会社というハードの存続なのか、お客様の笑顔なのか、従業員の幸せなのか…いろいろあると思います。

「サクセスフルエイジング」とは、豊かで幸せな高齢期の概念で、正確な日本語訳がないため、現状はそのまま使用されています。

私たちの人生は「勝ち組」「負け組」という表現をされることが多々ありますが実は、その限りではないのかもしれません。
Gerontology視点で考えてみると、今までとは違った、新しい答えが見つかることが多々あります。
新しい芽吹きの春に、ぜひ一度お試しください。