シニア世代との商談を成立させる「パンフレット・資料の並べ方」とは?

しばしば、金融商品の相談などでカウンターに行くと、
ずらりと机上にパンフレットを並べている担当者を目にします。
商品が沢山あるようで、いかにもお客様思いの印象を受けます。
「売る側ではなく、お客様ご自身にお選びいただくように」
昨今の営業研修の成果かもしれません。

ところが、シニア世代には「ずらりと並べられる」ことが、マイナスに出ます。
高齢期になると視野が狭くなるので、横並びに広げられると見えません。
効果的なのは、本人の前に置く事です。

こんな事例があります。

私が、金融機関のソファーで順番を待っていたときのことです。
資産運用相談窓口には、60代後半のシニア男性。
机の上には所狭しとばかりに、パンフレットが並べられています。
担当者は30代前半の担当者が、顔いっぱいに笑みを浮かべ、商品が沢山あることをアピールしています。

ところが、お客様は机の両端にある資料には注意を払いません。
自分の前にある商品ばかり、見ています。
担当者は、左右いっぱいに並べて読みやすく工夫をしたつもりなので
不思議な顔で、さらに机の端までに広げてゆきました。
しかし、効果ナシ・・・。真ん中のパンフレットに目が行きます。
結局、広げられたパンフレットには目もくれないまま持ち帰り、
説明の途中で帰ってしまいました。
なぜ、このようなことになったのでしょうか?

その理由は、以下です。

私たちの視野は、加齢とともに低下してゆきます。
65歳ころから、端にあるものを発見する能力が急激に低下します。
よって、このように、シニア顧客の前に机上にずらりとパンフレットを広げても
効果を発揮しません。
それどころか、端の方に広げられては、見えない・わからないが増長されるだけです。

対策としては、本人の目の前、できれば60度以内に収まるように並べます。
ぴんと来ない方は、机の前に座り、自分の正面を0度として左右に60度の線を引き
その中にパンフレットを置いてみましょう。
私が研修時に一人ずつ実習をしていただくと、こんな声が上がります。
「えっ意外と、狭いんですねー」

たくさん並べても、視野に入らなければ、説明されていない・わからない。
これでは、コミュニケーションになりません。
ぜひ、今から「資料は60度」をお試しください。

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