「老年学」VS「加齢学」どう違うのか?

弊社が研究している「ジェロントロジー」

老いない、若返りと解釈をされることがありますが、そうではありません。
老いを受け入れる、年を重ねることを人間の成熟と考えるのが「ジェロントロジー」です。
中高年のキャリア開発に取り組む場合、従業員に対して若返りを求めたり、加齢を否定すると、間違った結果を生み出してしまいます。高齢社員の居心地が悪い組織風土を作りかねません。受容し、プラスにとらえることこそが、人材育成の成果を生み出します。
今回は、改めてこの「ジェロントロジー」という言葉の意味について、解説します。

 

「ジェロントロジー」=「gerontology」は、「老年学」「加齢学」と訳されています。
前者のほうが、多いようです。例えば「日本老年医学会」「応用老年学会」。
しかし、どうにも聞こえが悪く「老人のための学問」と誤解する人も多くいます。
そのためか、最近では「ジェロントロジー」という言葉をそのまま使うところも出てきました。「金融ジェロントロジー学会」などです。私が代表理事を務めている「日本産業ジェロントロジー協会」では、日本語にしたことによって誤釈が出ることを避けるため、当初から原語を使用しています。自分楽も、これに倣って「ジェロントロジー」「gerontology」としています。

 

語源ですが、ギリシャ語の「高齢者」の意味を表すGerontに、「学」を表すologyがついた造語です。加齢に伴う心身の変化を教育・心理・教育・医学・経済・労働・栄養・工学など、実に様々な分野から学際的に研究する学問です。「産業ジェロントロジー」とは、このgerontologyの研究成果を企業の人材マネジメントに生かすものです。

 

ところで、「老年学」「加齢学」ですが、実は意味が違います。

「老年学」…高齢者の社会的諸問題の研究
「加齢学」…子供から高齢者までの年齢による変化(加齢変化)の研究

昨今は「高齢者」「シニア」という世代の年齢幅が広がり、中年後期も包括するようになりました。
高齢者本人だけ注目しよう、というのであれば「老年学」
中年世代の高齢者になる以降期間も視野に入れよう、というのであれば「加齢学」

 

皆さんの取り組みによって、「老年学」「加齢学」何れに当たるのかが変わります。
自分楽としては、「gerontology」という原語を使用して、両方を網羅することが良いのではないのかと考えています。いかがでしょうか?