経済産業省が「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」を後押ししています。
御社では、いかような取り組みをされていますか。
オンライン研修の導入が多くなされていますが、他にも、資格取得のための学費の補助、
自主学習がしやすいようにフレックス制度を導入するなど、色々あると思います。
このリスキニングに関する施策は、大手総合研究所が事務局となり進めています。
概要は、以下となっています。
(1)在職者が自らのキャリアについて民間の専門家に相談できる「キャリア相談対応」の実施。
(2)それを踏まえてリスキリング講座を受講できる「リスキリング提供」
(3)それらを踏まえた「転職支援」
リスキリングと労働移動の円滑化を一体的に進めるという観点から成っています。
つまり、出口は「転職」です。
私は、この「出口」の在り方に対して、危惧を感じました。
理由は以下の2つです。
(1)リスキニングの推進により、企業に優秀な人材が残らなくなるのではないのか?
(2)人材不足の中小企業は、この政策にどう対応するのだろうか?
経済産業省ではリスキニングを以下のように定義しています。
「新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、 必要なスキルを獲得する/させること」
ここに重要なキーワードがあります。
「新しい職業」です。
ただし、前述の(1)(2)を防ぐ方法があります。
「新しい職業」を、転職ではなく、「新しい仕事に就く」と考えることです。
つまり「自社内で新しい仕事」を創りさえすれば、リスキニングの成果を生かすために従業員はとどまるのです。
転職がスキル教育の成果という、アメリカ式の価値観も必要かもしれませんが、社会の制度・風習の異なる日本において、それがまったく同様に通用するとは言い切れません。
一例として、弊社のお客様の中には「gerontology教育」を40代に取り入れて、新規事業展開をされているという事例があります。高齢者理解に端を発し、シニア市場をターゲットとしたビジネスを展開したというものです。
特に、なくてはならない世代である40代にリスキニング教育を強化している企業においては、今一度「出口」に関する考え方を見直すべきではないのでしょうか。
皆さんは、いかがお考えでしょうか。
本件に対するご意見、ご相談について、お気軽にお寄せください。