シニア顧客に「大きな声」は、逆効果?

「こちらに書いてありますが、引き落とし日は、翌月の…」
デパートのサービスカウンターで、70歳くらいのお客様に、
大きな声で説明をしている女性従業員。
「え・・・? 何日ですか?聞こえにくくて…」
「(さらに声を大きくして)あ、失礼いたしました。引き落とし日は、」

相手がシニア世代である場合、最初から聞こえないだろうと配慮をして、
大きな声を張り上げて話をする店員さんをよく見かけます。
しかし、大抵の場合、こんな返事が返ってきます。

「え? よく聞こえないんですけれど・・・」

なぜ、声を大きくしているのに、聞こえないのでしょう。
実は、この「大きな声」というのがクセモノなのです。
高齢期になると、「リクルーメント現象」が現れます。
これは、音の大きさに対する感覚異常であり、大きな音が、割れて聞こえたり、
異常にうるさく感じたりするものです。
よって、聞こえないだろうと気配りをしたつもりで大きな声を出すと、逆効果になってしまうのです。

また、高音も聞こえにくくなります。
高周波の「モスキート音」と呼ばれるもので、蚊のブーンと飛ぶ音に似ているためこの名前が付けられました。

声高に大きな声を張り上げると
「うるさいなぁ…聞こえないよ」
と、これもまた、逆効果となります。

対策としては、腹から出すような気持ちで、どっしりとした太い声で話します。
日本人は、特にシニア世代と子供に高い声で話す傾向があるので気をつけてください。
以下に、国立研究開発法人産業情報研究所の「高齢者・障がい者感覚データベース」をご紹介します。
実際の音を体感し、ご自分の声と比較してはいかがでしょうか。

http://scdb.db.aist.go.jp/portal/design/hearing.html

弊社では、ジェロントロジーの科学的見地から、誰にでもできるシニア顧客向け対応のコンサルテーション・研修・教材開発などを行っています。お気軽にご相談ください。