「職場の声掛け・仲間づくりこそが、高齢社員のモチベーションをあげる、離職防止策になる。」
高齢者雇用をテーマにした事例発表や、シンポジウムでは、必ずと言っていいほど取り上げられるコンテンツです。確かに、日本型企業においては「みんなで仲良く集うこと」が、楽しく、イキイキとした職場づくりに直結すると思われています。
それでは、昼休みにポツンと一人で、外を見ている高齢社員は、孤独感や疎外感を感じているのでしょうか。
実は、そうとは言えないのです。
高齢者は年齢を重ねるにしたがい、一人でいることが上手になっていきます。
高齢心理学の研究で著名な、大阪大学大学院人間科学研究科 佐藤真一教授は、以下のように論じています。
「孤独感は若い人の方が高く、歳を重ねるにしたがい自分の世界に1人でいられるようになる。『孤独』というよりは、『孤高』に近く、『孤高』の世界に向かって、内面の世界がだんだん充実してくる。」
つまり、一人でポツンとしていても、後期高齢者世代になると、それはそれ。
「孤高」の世界として楽しんでいる人がいる。増える。ということです。
声掛けが、邪魔になることがあります。
50代後半から60代半ばの雇用延長・再就職の方は、「孤高」にまで至らない方が多いので、ここでは、職場の声掛けは有効に働きます。まだまだ、組織の中心で自分を表現したい、人に認められたいという意識が強い方が、沢山います。
高齢社員を十把一絡げで考えるのではなく、年齢に合わせて職場のコミュニケーションの取り方を工夫しなくてはいけません。70歳定年がささやかれている今、職場のコミュニケーションについても、Gerontology研究を生かした施策が必要になるのではないのでしょうか。