「認知症サポーター」と、そのノウハウの活用方法

金融機関・保険・小売業などの顧客対応として着々と進んでいる、認知症対策。その一つとして「認知症サポーター養成講座」があります。私も、産業ジェロントロジーの第一人者には必須であると考え、受講しました。

内容としては、既知のことが大半でした。しかし、参加者の方たちのニーズ・属性・講座の構成などは、とても参考になりました。

よかったなと思ったのは、認知症の暗い面にもスポットを当てていたことです。「何回あっても、はじめまして…と挨拶をしてくれるの。かわいいおばあちゃんよ」と、面白可笑しく話をする方と、私は、何十人もお会いしてきました。しかし、現実は、いつも愉快で、和やかなわけではありません。施設職員に暴力をふるったり、息子に向かって「私の銀行通帳を盗みに来た泥棒め!出ていけ」と叫んだりすることもあります。

今回は身内の介護を担う50代の女性が6割と、介護施設勤務者2割でした。主催者の方が「まだまだ介護の担い手は、女性が多いのですよ」と教えてくださいました。

 

「認知症サポーター」は資格ではなく、サポートしていますよという意思表示です。名刺に書かれている方を見かけますが、試験を受けたりしているわけではなく、講座を受講しましたという意味です。内容は、疾病の専門的知識を身につけるというよりは、認知症という症状に対する理解と対応の仕方、人権尊重が中心です。

「地域における見守り」が軸にあります。

 

今回の受講で参考になったのは、企業で認知症の方対応の指導をしている、社会福祉知事の男性の話です。声掛けの際にしがちな、間違った対応についてです。その中から、二点をご紹介いたします。

 

(1)後ろから話しかけてしまう。

ATMなどで起こりがちなミスです。驚かせてしまい、言葉に詰まったり混乱させてしまいます。必ず正面から顔の表情を見せて安心させましょう。

 

(2)大勢で周囲を囲んで、話しかけてしまう。

スーパーなどで、一人の高齢者の方を数名の従業員の方が取り囲み「おうちは、わかりますか?」「一緒にいてあげるから、安心してください」などと矢継ぎ早に質問したり、話しかけたりしている場面を見たことがあります。これでは、声による情報が多すぎ、何を聞かれているのか識別できなくなってしまいます。また、質問の種類が多すぎると、何を応えればよいのか、混乱します。取り囲まれることによる心理的不安も与えます。

 

「みんなで、あなたを心配していますよ」という思いやりの表現が、裏目に出てしまうことに気づきましょう。

 

弊社も「認知症サポーター」講座の内容を活かした、ビジネスむけのミニ勉強会をご提供しています。ご関心をお持ちの方は、お問い合わせください。

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